桃仁(トウニン)
【釈名】時珍曰く、桃は性花が早く、植え易くして子が繁る。故に文字は木、兆に従うので、十億を兆といい、その多いということを言ったものだ。

【集解】弘景曰く、核仁を薬に入れるには、解核のものを植えて取ったものをよしとすべきものだ。山桃仁は用いるに堪えない。
頌曰く、汴東、陝西のものは最も大きくして美味である。概して果実の佳味にして肥美なるものは、いずれも栽培者が他の木に接いで作ったもので、甚だしく本性を失っている。薬に入れるには本から生えたものをよしとすべきものだが、現に市中で販売するものは、多くは接核の仁をまじえてあるから役に立たない。

【修治】別録に曰く、七月に採り、仁を取って陰乾する。

【気味】苦く甘し、平にして毒なし

【主治】瘀血、血閉、癥瘕(腫瘤)、邪気。小蟲を殺す。

国訳本草綱目,春陽堂書店,東京,1973,第四冊,菜部・果部,p245-255