研究の概要

 高齢化の進む現代における医療のなかで,伝統的な医療,特に漢方医療の占める役割は
大きなものがあります.漢方医療は,診断に基づいて正しい漢方処方を選び,
正しく調剤することが基本となっています.漢方処方を構成する各種の生薬の品質保持と安定供給は,
漢方医療を支える上で重要です.生薬は天産品を利用するため品質に良否があります. 
また,多くが輸入品でまかなわれているため,同名異品などの混入の懸念があります. 
漢方医療の恩恵を正しく受けるためにも,生薬品質の良否解明研究は早急に行われなければ
ならないのです.またこのように貴重な生薬資源を確保する様々な試みが必要となっています。

研究テーマ

 市場に良質の生薬を供給することを目的として、正しい原植物、薬用部位、採集時期、加工調製
方法、品質を左右する環境要因、栽培方法などを明らかにします。また、新資源の開発を目指します。

現在使用されている漢方生薬の基源の解明と使用の是非
  基源とは、生薬の原動植物種、用部、採集時期、加工方法など、生薬の来歴を言います。市場品の
原植物解明には内部形態を、顕微鏡などを使って観察する手法がもっとも簡便で正確です。また、
その生薬基源の是非については、古文献をひもといて個々の生薬の歴史的変遷を明らかにすること
により解明します。

生薬の化学的品質評価
  生薬の有効性や品質の相違を、化学成分を指標にして評価します。最近では、化学成分が薬用植物の
生育地の土壌pHなど、生育環境に大きく左右されていることを明らかにしました。また、色彩計や
においセンサーなどを利用した簡便な品質評価方法の開発をも目指しています。

新資源開発研究
 新たな生薬資源を開発するため、環日本海域をはじめ、中国を始めとする東アジア、ネパールや
ブータンのヒマラヤ地域、パキスタンなど南アジア各地で現地調査を行なっています。
得られた植物標本はDNA配列による種の特定、系統解析を行い、さらに成分分析結果と関係を
明らかにして、生薬資源としての評価を行います。

栽培研究
 薬用植物園は教育、研究、資源保存を目的に、収集した薬用植物を生きた資料として
栽培しています。栽培研究は特に環境悪化に耐えうる薬用植物の創出を目指して、塩害、
乾燥実験を行っています。また薬用植物園は、地域に貢献する各種の教育的イベントの
拠点となっています。
 
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