アンメット疾患とは、医薬品も含めた治療方法に対しての患者の満足度が低い疾患を意味します。その中でも慢性腎障害に対する治療薬として期待されている肝細胞増殖因子(HGF)の体内動態研究、とくにヒトにおける体内動態の予測とメカニズムの解明に関する研究を行っています。HGFは700個以上のアミノ酸が共有結合してできたタンパク質であり、低分子医薬品とは大きく異なる性質があります。HGFの体内動態には、肝臓に存在するHGFの受容体(細胞膜に存在し、HGFと結合して生物活性を発揮するタンパク質)を介した細胞内への取り込み機構が重要であることが、実験動物レベルでは明らかになっていました。私たちの研究によって、そのメカニズムがヒトにおいても重要であることが示唆されました。HGFは現在、腎障害だけでなく、さまざまな疾患に対する治療薬として開発が進められており、私たちの研究成果は、HGFを適切な投与量で投与し、最大限の効果を期待する上で、重要な情報であると考えられます。私たちの研究室では、HGF以外の生理活性タンパク質の体内動態の解明と医薬品開発への応用についての研究も、行っています。
<このテーマに関連する主な研究業績>
Mizutani S, Matsumoto K, Kato Y, Mizutani E, Mizutani H, Iwase A, Shibata
K. New insights into human endometrial aminopeptidases in both implantation
and menstruation. Biochim Biophys Acta 1868(2): 140332, 2020.
Sugiura T, Takahashi S, Sano K, Abe T, Fukuta K, Adachi K, Nakamura T,
Matsumoto K, Nakamichi N, Kato Y. Pharmacokinetic modeling of hepatocyte
growth factor in experimental animals and humans. J Pharm Sci 102(1): 237-249, 2013.
詳細は、こちら。
詳細は、こちら。