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薬物治療の標的分子を解明し、病気の治癒やQOLの改善を目指します。

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論文業績の説明

Nakamichi N, Shima H, Asano S, Ishimoto T, Sugiura T, Matsubara K, Kusuhara H, Sugiyama Y, Sai Y, Miyamoto K, Tsuji A and Kato Y. Involvement of carnitine/organic cation transporter OCTN1/SLC22A4 in gastrointestinal absorption of metformin. J Pharm Sci 102: 3407-3417, 2013.

 メトホルミンはII型糖尿病に対して広く使われている薬物です。この研究では、メトホルミンが経口薬であることに着目し、その小腸からの吸収メカニズムの解明を目的としました。メトホルミンは有機カチオン(プラスの荷電を持つ化合物)であること、一方で当研究室では有機カチオンを幅広く認識するトランスポーターOCTN1がヒトやマウス小腸の刷子縁膜に存在することを報告していることから、このOCTN1がメトホルミンの消化管吸収に関与しているかどうかを解明するのが、この研究の目的です。当研究室では、OCTN1を遺伝的に欠損させたマウス(遺伝子欠損マウス)を保有していることから、このマウスと正常マウスとを比較することによって、OCTN1の役割を解明することができます。研究の結果、OCTN1は小腸でのメトホルミンの取り込みと排出の両方に働くことが示唆されました。すなわち、低濃度ではOCTN1は主にメトホルミンの小腸上皮細胞からの排出に、高濃度では小腸上皮細胞への取り込みに働きます。またOCTN1によるメトホルミン輸送の特徴として、細胞外が弱酸性の時には取り込みよりも排出の方が優位であることが分かりました(小腸では刷子縁膜側の細胞外が弱酸性環境ですので、おそらく排出が主であると思われます)。この結果は、OCTN1がメトホルミンの小腸からの吸収に影響を与えるトランスポーターであることを示唆しており、メトホルミンを用いた薬物治療を考える上で有益な知見であると考えられます。






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