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先輩に聞きました −卒業生・修了生で知る薬学生の進路−

小林徹也

現在の仕事の内容を教えてください

米国カリフォルニアに本部を置く製薬企業 CV Therapeutics 社において、新規医薬品の探索合成研究に従事しています。目的とする疾患の治療に有効であろう低分子化合物をデザインし、有機化学の技術を用いて合成します。合成した数多くの化合物を生物学者とともに評価し、薬になり得るモノを見つけ出すことが現在の仕事です。

いまの仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?

私は基本的に有機化学者ですから、デザインした化合物が合成出来た瞬間にまず喜びを感じます。次に、実際に作った化合物が試験管内または動物試験で効力を発揮してくれたときに感動があります。これらの作業は全てチームワークですから、メンバーがそれぞれの役割を果たして、仕事がうまくいったときに最もやりがいを感じます。

いまの仕事で大変なことはどんなことですか?

候補化合物の高次評価が進むと、しばしば大量に高純度の化合物を合成して他の部署に供給する必要があります。他の部署と連携するためには、必然的に仕事の期日が設けられます。何月何日までに何グラムの候補化合物を合成する、というように。締め切りの日が近付いてくると、研究作業が深夜におよぶことも稀ではありません。

学生時代に学んだことはどのように活かされていますか?

私の専攻は学部の卒業研究から博士課程まで一貫して有機化学です。現在の仕事は新規医薬品の合成研究ですから、学校で学んだことが直接役に立ちます。有機化学だけではなく、学部生時代には試験前しか(さえも?)勉強しなかった他の科目、すなわち薬理学、生薬学、微生物学や生化学などの幅広い知識を持っていることが創薬をするには大変重要です。学部時代に使った教科書のいくつかは、いまだに私のオフィスの本棚に並んでいます。

学生時代にもっとやっておけばよかったということはありますか?

学部生の頃からでしょうか、何か好きなことを見つけて一生懸命になるようになった気がします。ただ、今に比べて随分“暇な”時間があったと思います。それは,“ゆとり”と呼べる時間ではなく、何もすることがなく時間をつぶしているような状態です。今から思うと、その時間をもっと見聞を広めるために使えたのではないかと思います。

今後の目標を教えてください

数多くの人々が苦しむ疾患の、従来の治療形態を一新するような薬剤を自らのアイデアで開発することです。加えて、有機化学にできることを少しでもたくさん見つけることです。

同じ仕事をしたいと希望する後輩たちにアドバイスやメッセージをお願いします

一つ自分の好きなことを見つけて、それに打ち込んでみて下さい。続けているうちに上手に出来るようになり、面白くなってくるものです。それが、その先長い間継続できて、将来に何か具体的な夢のようなものが持てるなら理想的です。海外の名門大学に留学する、いつか会社を設立して薬剤を上市する、大学教授になる、何でもいいのです。その夢を実現するために、何が必要かを考えてください。意外とやってみれば出来るかもしれませんよ。私に、その夢を見させてくれたのが有機化学でした。

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