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報道ダイジェスト:記事

金大・東京農大グループ 葛根湯原料 志賀で栽培成功 国産化へ道筋 中国依存脱却へ

漢方薬「葛根湯」の原料となる薬用植物「マオウ」の国内栽培に、金大と東京農大の研究グループが志賀町で初めて成功した。耕作放棄地で、肥料を工夫するなどして、生薬と認められる国の基準をクリアした。マオウは国内の年間使用量500トンを全て中国から輸入しており、生産者が減る中、供給元の確保が急務になっている。志賀産は中国産の半分の期間で生薬となることも確認され、グループは国産化で能登の振興や雇用創出を目指す。

マオウの栽培研究は、金大名誉教授の御影雅幸東京農大教授、金大医薬保健研究域薬学系の佐々木陽平准教授、安藤広和助教らが取り組んだ。
国の医薬品の規格基準で、マオウは窒素を含む塩基性物質「アルカロイド」の含有量が0.7%以上と規定されている。これを下回ると生薬と認められず、国産化には含有量が安定して基準を超える栽培手法の確立が不可欠だった。
研究グループは2013年4月から、志賀町で農産物の生産販売を手掛ける「菜友館」の協力で耕作放棄地約600平方メートルを借り受けて圃場を整備し、2年間育てたマオウの苗を植えた。中国の産地では化学肥料に尿素が使われていることから、適切な尿素の量を検証し、効果的な水やりも調査した。
その結果、14年9月に収穫したマオウのアルカロイド含有量は平均1.12%と基準値の0.7%を上回った。中国産は種をまいて5~6年で含有量が基準を上回るのに対し、今回の実験では3年で基準に達した。研究グループは、志賀の砂地が栽培に適していたと推察している。
現在、志賀町や加賀市で計3千株のマオウを栽培している。国産化のめどが立ち、今後は種や苗を増やす量産体制の構築が課題となる。
約30年間、マオウの研究を続ける御影教授は「国産化の成功は研究の集大成だ。特産化や雇用創出で能登に元気を与えたい」と話した。研究成果は23日富山市で開催されている和漢医薬学会学術大会で発表される。

マオウ

中国北部の砂地などに自生する。日本には自生しない。高さは30~70センチ。生薬として使われるのは茎の部分で、9、10月に刈り取り、天日干しにする。これを、1、2センチに刻んだ生薬を「麻黄」という。発汗、鎮痛といった作用がある。中国は野生資源の減少を理由に1999年、輸出を禁止。現在は刻んだものを「加工品」として輸出しているが、市場価格の低下に伴い、栽培を放棄する農家も多い。

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