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報道ダイジェスト:記事

メキシコの会社員 金大で調査 偽造薬根絶したい カデナさん日本の制度・意識参考に

メキシコで製薬会社に勤めるセシリア・カデナさん(27)が、金沢大学大学院でアジアの途上国に出回る偽造や品質不良の医薬品の調査を行っている。こうした医薬品は、メキシコでも闇市場を中心に流通し、健康を脅かしている。日本での調査や生活経験を生かし、母国の医薬品事業を少しでも改善したいと張り切っている。

メキシコ市の外資系製薬会社に勤務するカデナさんは、国際協力機構(JICA)を通じ、5月から半年間の予定で金沢大の国際保健薬学研究室に派遣された。

研究室では、カンボジアで流通している医薬品の調査を実施中。現地で収集した薬の成分を解析し、数値が基準に満たない場合、追加検査で原因を究明する。最終的にはデータを製造元に送り、偽造かどうかを確認している。流通実態を把握し、政府の取り締まりを支援するのが狙いだ。

カデナさんは母国で薬の品質管理を担当しており、実務経験に基づき、品質悪化の原因が薬の製造工程や梱包にあると考えられるのか、薬局の保管状況にあると見られるのか、英語に片言の日本語を交え、研究室のスタッフに助言する。指導教官の木村和子教授は「彼女の経験に助けられている部分は大きい」と語る。

日本ではなじみのない偽造薬だが、アジアや中南米では広く出回っている。経済成長著しいメキシコだが、中間層の所得の半分に満たない貧困層が18%に上り、少しでも安い薬を手に入れようと、偽造やその可能性のある薬に手を出す人は後を絶たない。

同国の医療制度や医薬品の販売管理にも、偽造薬が流通する土壌がある。公立病院なら無料で受診できるが、患者が殺到するため、長時間待たされ、薬も不足しがち。貧困層の中には、病院には行くだけ無駄とあきらめ、自己診断で勝手に医薬品を買い求める人も多い。薬局の中には在庫管理がずさんで、すぐに医薬品が底をつくところもあり、闇市場や路上の店舗での需要は絶えない。

昨年、世界で最初に新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が確認された際には、病院に行かずに自分で購入した医薬品に頼って症状を悪化させる人が続出した。これを機に、国民の間で通院や安全な医薬品を購入することの重要性が見直されるようになった。

経済的要因もからむだけに問題の抜本的な解決は容易ではないが、カデナさんは、その糸口を日本に見いだす。「日本人は、薬に対する安全意識が高い」。帰国後は、国民に正規のルートで薬を購入することの大切さを広め、偽造薬の需要を減らすことで根絶につなげたいと考えている。  

※この記事は、読売新聞社の許諾を得て転載しています。(著作物について

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