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報道ダイジェスト:記事

「薬物性肝障害に抑制法」 生体免疫反応が原因 金大大学院・横井教授 治療薬を特許出願

金大大学院薬学系の横井毅教授(薬物代謝学)は4日までに、特定の薬によって起こる重い肝障害の原因が生体の免疫反応であることを突き止め、その抑制方法を開発した。薬が体内の特定のたんぱく質を活性化し、炎症を引き起こしていた。免疫反応による薬物性肝障害の仕組みが明らかにされたのは世界で初めてで、研究は米毒性学会の学術誌で発表される。

横井教授が解明したのは、吸入麻酔薬の一種「ハロタン」で肝障害が起こる仕組み。ハロタンは導入も目覚めも早い全身麻酔剤としてよく使われていたが、1万人に1人の割合で、麻酔の数日後に重い肝障害を起こす症例が報告され、最近では使用頻度が減少している。

この肝障害では、肝臓でホルモンの一種や組織障害性の遺伝子が増殖・活性化して炎症化することが分かっている。この反応にはこでまで免疫反応の関与は考えられていなかった。

「IL17」に着目

しかし横井教授は免疫機構を調べる中で、炎症を誘導する生理活性物「インターロイキン17」(IL17)に着目。ハロタンを投与し、ホルモン類が上昇しているマウスを調べると、IL17の値も同時に上昇しており、相関関係にあると分かった。さらに、ハロタンで肝障害を発症させたマウスにIL17の抗体を与えると症状は回復した。IL17を投与すると肝障害は悪化した。ハロタンが肝臓で代謝される際にIL17が生み出され、同時にホルモン類を増やして炎症を引き起こすと判明し、謎だった薬物性肝障害の一端が明らかになった。

この研究から、IL17の抗体は薬物性肝障害を防ぐ薬として期待され、金大は特許を出願した。肝障害を起こす薬はハロタン以外にも多く、今回分かった仕組みで発症する薬も複数あると考えられ、現在選別を進めている。横井教授は「他の薬の肝障害メカニズムも研究し、安心して薬が使えるようにしたい」と話した。

お問い合わせ先:
横井 毅; tyokoi@kenroku.kanazawa-u.ac.jp

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