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報道ダイジェスト:記事

「発がん物質光らせ発見」 食品,化粧品など検査に有効 金大・山下准教授ら新技術を開発

さまざまな発がん物質を光らせて見つける新技術を,金大医薬保健研究域薬学系の山下克美准教授ら研究チームが3日までに開発した。「Cdc25B」という遺伝子が,発がん物質の中でも検出が難しい「非遺伝毒性発がん物質」で分解されるという発見を利用した技術で,食品や化粧品の毒性検査,抗がん剤の開発に効果が期待される。検査キットなどでの実用化を目指し,金大は特許を出願した。

山下准教授と金大イノベーション創成センター博士研究員の内田早苗さんが,細胞分裂を調節する遺伝子「Cdc25」類を研究する中で,Cdc25Bは遺伝毒性物質だけでなく,食塩などの非遺伝毒性物質でも分解されることを世界で初めて発見した。分解は,細胞が毒性をストレスと受け止め信号を発すると,Cdc25Bがたんぱく質「β-TrCP」と結合して起きることを突き止めた。

この分解メカニズムから,山下准教授らはCdc25Bとβ-TrCPの両端に二分割した蛍光たんぱく質を結びつけることを発案。毒性を感じてCdc25Bとβ-TrCPが結合すると,蛍光たんぱく質も結合し発光するという検出法を確立した。

実験では,がん細胞遺伝子に損傷を与える抗がん剤(遺伝毒性物質)のほか,胃がん促進因子の食塩でも24時間以内に強い蛍光発色が見られ,これまで検出が困難だった非遺伝毒性物質の確認に役立つと認められた。

また,がん進行の一因には腫瘍中でCdc25Bが過剰に増えて細胞分裂を促していることが挙げられるが,今回の技術を応用すれば,腫瘍中でCdc25Bを分解できる物質を見つけ出して抗がん剤として開発することも可能になる。

近年では,遺伝子に突然変異を起こす遺伝毒性物質よりも,細胞に長期間にわたってストレスを与える非遺伝毒性物質の方が発がんに果たす役割は大きいと考えられている。

山下准教授は「細胞分裂の基礎研究の成果を応用へ展開できる可能性が見えてきた。今後はより広い分野への応用を目指して,使いやすく改良し実用化したい」と話している。

※非遺伝毒性発がん物質
遺伝子は傷つけないが,大量摂取でがんの原因になる化学物質。ヒ素やアスベスト,ダイオキシン,ホルモン剤,食塩,食品や化粧品の酸化防止剤であるBHA,BHTなどが知られる。DNAに傷をつけがんを誘発する排ガスやたばこ,カビ毒,紫外線などは「遺伝毒性発がん物質」と呼んで区別する。

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