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報道ダイジェスト:記事

丈夫がいいね 便秘、下痢に効く『現代薬』大黄

金大大学院自然科学研究科の御影雅幸教授(生薬学)が今、関心を持って研究しているのは、漢方の生薬の一つ、大黄である。

大黄の地中の根茎を煎じて飲むと、排泄が促される。このため、下剤として広く知られるが、実は下痢止めの効果も持つ。御影教授は、この相反する二つの薬効を持つ大黄の特性にひかれている。

【胃腸の機能回復】御影教授は、今年春、大黄に下痢を止める効き目があることを理論的に証明した。大黄をアルコールに浸す実験を行ったところ、血行を促す化学物質の含有量が多くなったのだ。大黄を加工して服用すれば内臓の血流が良くなり、この結果、胃腸の機能の働きが元通りとなって、便通が正常になるのだ。

大黄は中国の高山地帯に自生する。その歴史は古く、約2千年前の編まれた中国最古の薬物書「神農本草経」には、薬効が強く、しかも即効性があり、「将軍」の別名を持つと記されている。日本には千二百年以上前に伝わり、奈良の正倉院に標本が残る。

御影教授が強調するのは、大黄は決して「過去の遺物」ではなく、現代病の治療にも有効ということだ。その一つが、ここ数年、社会人の間で急増している過敏性腸症候群である。

同症候群は仕事上のストレスなどで腸の働きが過敏になり、腹痛や下痢、便秘を繰り返す。仕事が休みの週末は何ともないのに、出勤前になると下痢をしたり、旅行に出掛けると便秘になったりする病気で、症状が一定しない「不定愁訴」の一つに挙げられる。

西洋医学では、この症状には精神安定剤を中心に、痛み止めや下痢止め、便秘薬など複数の薬を処方する治療法が取られる。しかし、症状が出るたびに薬を変える必要があり、経費もかさむ。これに対して大黄を配合した「桂枝加芍薬大黄湯」などの漢方薬を飲めば、便秘と下痢の双方の改善が期待できるのだ。

桂枝加芍薬大黄湯は石川をはじめ全国の病院で処方されるようになり、過敏性腸症候群にとどまらず、精神不安定や高血圧が改善した事例も報告されている。 【肝炎などに効果】 「大黄はおもしろい生薬でしょう」。御影教授によると、中国の臨床実験では、心臓疾患や肝炎などにも効果があることが分かってきた。二千年以上の歴史を持つ生薬には、まだまだ知られざる薬効が秘められていると同教授は見る。研究者を引き付けてやまないその神秘性は、医学の進歩の可能性でもある。

お問い合わせ先:御影 雅幸;mikage@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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