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報道ダイジェスト:記事

丈夫がいいね 命救った加賀藩の『秘薬』 加賀黄連

金大角間キャンパスから、同大大学院自然科学研究科の御影雅幸教授(生薬学)の案内で山道を歩くこと約十分。丘の斜面に青々と茂る葉が生えていた。加賀藩が秘薬として珍重した「加賀黄連」であり、今もキャンパス周辺の里山に自生している。

【金大周辺に自生】 加賀黄連は多年草のオウレンの一種で、根を煎じて飲めば、炎症を抑えたり、胃の調子を整える効果があるという。

オウレンの根にダイオウ、オウゴンなどの植物の根を加えて煎じると、即効性の止血剤である「三黄瀉心湯」という漢方薬になる。御影教授にはこの三黄瀉心湯に忘れられない思い出がある。

1996(平成8)年9月11日、東大に事務局を置くヒマラヤ植物研究会の一員として薬草の分布調査に参加し、ネパール・ヒマラヤ山脈の高山に登っていた時のことである。同行した金大の大学院生=当時(23)=が標高3000メートルの斜面で滑落、全身を強く打ち、頭部から激しく出血したのだ。

意識はあるが、頭をタオルで押さえても血は止まらない。命を落とす危険があり、無線でネパール軍に救助隊の派遣を要請したものの、到着には早くて丸一日かかるという。

絶望感に襲われる中、御影教授は持っていた市販の「三黄瀉心湯」を大学院生に飲ませた。すると、一時間もしないうちに出血は徐々に治まり、容態が安定した。院生は約24時間後に救助隊のヘリで首都・カトマンズの病院に搬送され、一命を取り留めることができた。 「三黄瀉心湯がなければ助からなかったかもしれない。あの時ほど漢方の力を実感したことはありません」。

【生薬組み合わせ】 三黄瀉心湯を服用すると、なぜ出血が抑えられるのか。まだ科学的には明らかにされていない。だが、御影教授は「漢方薬は人類が2千年以上、試行錯誤を繰り返してつかみとった財産」と話し、生薬の組み合わせが効能を生むと強調する。加賀黄連は今でも白山麓で栽培され、胃薬などとして用いられている。同教授ら研究者は、これら生薬の効能の科学的解明に取り組んでいる。

お問い合わせ先: 御影 雅幸;mikage@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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