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報道ダイジェスト:記事

丈夫がいいね 第3部 いただきます 「キノコ博士」のイチ押し 免疫高めるにはスープで

研究室に入ると、コショウと正露丸を混ぜたような独特のにおいが漂ってきた。木棚には袋やびんに入った乾燥キノコがびっしり。その数は数百種類に上る。
 金大大学院自然科学研究科・薬学部の太田富久教授(天然物化学)が北陸や東北地方で集めたキノココレクションだ。黒や茶、黄色のキノコを取り出し、太田教授は説明を始めた。

毒キノコ食べた

「このキノコは下痢を起こすが、食べればおいしいんです。これはテングタケで興奮作用がある。東北地方の若者はひそかに採って食べているらしい。私も口にしてみました」
 長野県生まれ、幼い時からキノコをよく食べたという太田教授。食用だけでなく、毒キノコまで食べたことがあるらしい。恐れ入る研究者魂だ。
 キノコは植物ではなく、菌類に分類される。その研究者は日本でも数えるほどしかいない。キノコに関する俗説が氾濫する中で、科学的に効能を調べる「キノコ博士」一押しの調理法はスープだという。
 材料はスーパーで売っているシイタケ、ナメコ、エノキ、マイタケ、ヒラタケ、エリンギなどでいい。
 太田教授が自家製として週に一回作っているスープは、二、三種類のキノコ三百グラムを細かく切り、五百ccの水で煮る。一時間ほどグツグツ煮詰め、最後に醤油を少し垂らして完成だ。

エキスを凝縮

なぜスープが体によいのか。それは時間をかけて煮詰めることでキノコのさまざまな成分が溶け出すからだという。

「焼いたり、炒めたりするよりも、成分が体に吸収しやすくなるわけです。キノコのエキスが凝縮したスープは、濃厚な香りと強いうま味があって、おいしさも抜群です」

太田教授の研究で、キノコには野菜や魚介類などにはない効能が明らかになってきた。例えば、「チキン」や「ベータグルカン」は、小腸にある「パイエル板」と呼ばれるイボ状の組織を通過すると、全身のリンパ球が活性化し、バイ菌などから身を守るための免疫力が高まることが分った。

「菌類のキノコは、人間にとって異物でしかない。異物が体内に入ると、それを排除しようとして免疫力が高まるのです」

太田教授によると、「ギャバ」は血圧を下げ、「アラニン」は肝臓働きをよくする。これらは量の多少はあるものの、キノコに多く含まれる成分だという。それらが溶け出した「キノコスープ」は他の食材では作り得ない“大地の恵み”なのである。

写真=キノコ尽くしの研究室で、一つ一つ効能を説明する太田教授=金大大学院自然科学研究科

お問い合わせ先: 太田富久;ohta@p.kanazawa-u.ac.jp

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