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報道ダイジェスト:記事

アルツハイマー病やパーキンソン病治療 「鉄」に活路 原因イオン流入抑制 金大薬学部助手が解明

脳に大量に流入すると、アルツハイマー病やパーキンソン病を起こすカルシウムイオンが、鉄分によって抑制されることを、金沢大薬学部の中道範隆助手(神経薬理学)が解明した。カルシウムイオンは脳卒中や統合失調症等の発症とも深いかかわりがあり、これら疾患の予防薬や治療薬として鉄分の活用が期待されるという。成果をまとめた論文は二〇〇六年度日本神経精神薬理学会学術賞を受けた。(報道部・伊藤弘喜)

カルシウムイオンは、脳神経細胞膜の“入口”にあたる受容体を通じて細胞内に取り込まれる。受容体からカルシウムイオンが脳に入り込むのを、促進させたり、抑制させる物質はいくつか明らかにされているが、鉄分がカルシウムイオンの流入の抑制に効き、受容体のどの部分に反応するかのメカニズムを特定したのは初めて。 鉄分は、脳にたまると脳細胞を破壊することなどは分かっていたが、働きまでは解明されていなかった。
 中道助手は実験でネズミの脳から切り出した神経細胞に、カルシウムイオンに反応すると光る試薬を加えた上でカルシウムイオンを流入させ、鉄分を混ぜた時と混ぜない時の光の強さを比較。その結果、鉄分を混ぜた後、光の強さは、十分の一以下に減り鉄分がカルシウムイオンの流入を抑制することを突き止めた。
 研究は、約五年にわたり、同大学院の米田幸雄教授(分子薬理学)と共同で行った。中道助手は「今後は、鉄分でカルシウムイオンの流入を抑えることが、脳にどう影響するのかを研究していく」と話している。

日本神経精神薬理学会学術賞選考委員長の鈴木勉教授(星薬科大学)の話 鉄が作用する脳の新たな部位を特定し、脳虚血やパーキンソン病などに関与している可能性を示したことが高く評価され、今回の受賞となった。

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