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報道ダイジェスト:記事

丈夫がいいね 第2部 健康にいい話 クスリと食の相性<中> 牛乳や納豆にも落とし穴

「牛乳を飲んではいけません」。金大附属病院前のアカンサス薬局。薬剤師の言葉に患者の女性は耳を疑った。
 女性は病院で骨がもろくなる骨粗鬆症の診察を受け、薬をもらいにきた。日ごろからカルシウムを補給するため牛乳をたくさん飲んでいるのに、なぜダメなのだろう。澤崎せゐ子管理薬剤師はこう説明する。
 「骨粗鬆症の治療薬の中には、服用の前後二時間は牛乳を飲んではいけないものがあります。骨粗鬆症イコール牛乳というイメージが強すぎて皆さん驚かれるようですね」
 その治療薬は骨粗鬆症で最も用いられる「ビスホスホネート」。牛乳のカルシウムが薬の成分と結合して溶けにくくなり、体内に吸収されないのだ。この飲み合わせは二時間たてば問題はなく、澤崎さんは「薬は朝に服用し、牛乳は昼や夜に飲むように」と指導している。

薬が効きにくく

「体にいい」と誰もが信じて疑わない食品ほど落とし穴がある。薬と食の相性に詳しい金大大学院自然科学研究科・薬学部の太田富久教授が警鐘を鳴らすのは納豆だ。 「毎朝食べる納豆も、ある薬と一緒になると、効き目を弱めてしまう。しっかり注意して食べないと大変なことになります」
 その薬とは心筋梗塞や脳梗塞の患者に処方される「ワーファリン」だ。血管が詰まらないように血液を固まりにくくする働きがある。
 実は納豆に多く含まれる「ビタミンK」には血液を固める作用があり、薬を効きにくくするのだ。このビタミンKは青汁や健康食品のクロレラにも含まれている。
 「ウナギと梅干」「スイカと天ぷら」。食べ合わせの悪さは古くから言われてきた。それぞれ二種類の食品に含まれる成分が体に悪影響を及ぼすことはなく、医学的な根拠に乏しいものばかりだ。食べ過ぎを戒めるといった類が多い。

薬漬けの副作用

これに対して、薬と食品の食べ合わせ、飲み合わせは科学的な実験により裏付けられてきた。太田教授は「漢方薬」を例に出してこの研究の大切さを強調する。
 「漢方薬の場合、食べ物と相互作用を起こすようなものは排除されてきた。医食同源の考えに基づけば、食べ合わせの悪いものは薬ではない。人工的に合成された薬が増えた今、相性を調べることがますます大事になっています」
 せっかく効果的な薬を開発しても、食品によって効き目がなくなっては元も子もない。食後や食前に欠かさず薬を飲む人が増えた現代、「クスリ漬け」社会の“副作用”とも言える落とし穴は身近に迫っている。

写真 薬の効き目に影響を与える食品の研究を進める太田教授=金大角間キャンパス自然科学1号館

お問い合わせ先: 太田富久;ohta@p.kanazawa-u.ac.jp

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