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報道ダイジェスト:記事

「運び屋」生かす新薬効果 開発に道筋 金大大学院・辻教授ら 有効性判断法を解明

治療のため投与された薬を細胞に取り込んだり細胞から排出したりする「薬物トランスポーター(運び屋)」というタンパク質の機能を生かし新薬の有効性を判断する方法を、金沢大大学院自然科学研究科(金沢市)の辻彰教授(六三)=生物薬剤学=と共立薬科大(東京都)の崔吉道・助教授(三九)=薬物動態学=が開発した。効率的な新薬開発につながると期待され特許を出願した。

辻教授らが開発した方法は、機能の異なる十五種類の運び屋タンパク質をウイルスに載せて別々の動物細胞に感染させ、薬の排出や取り込みについて同じ機能を持つ実験用細胞をつくる。薬を構成する化合物をこれらの細胞がどの程度取り込むかを測定することで、関与する運び屋タンパク質を特定し、薬が効果的かどうか判断できるという。

運び屋タンパク質は細胞膜内にあり、栄養素の摂取や老廃物の排出の働きがあるが、人の手でつくられた薬の出入りに関与していることは、十年余り前までは考えられていなかった。辻教授は早くから運び屋タンパク質が薬物の細胞への出入りに関与していると考え、薬の開発に生かす方法を研究してきた。

辻教授によると、薬が実用化されるまでには十-十五年の歳月と八百億円もの投資が必要。人間と動物とでは運び屋タンパク質の種類が違うため、動物実験で成功しても治験で思うような効果を得られず、失敗に終わることも多いという。

辻教授は「新しい方法を採り入れることで、新薬開発の際に起きうる多大な損失のリスクが少なくなることを期待している」と話している。(報道部・青木真)

お問い合わせ先: 辻 彰;tsuji@kenroku.kanazawa-u.ac.jp

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