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報道ダイジェスト:記事

治し屋精鋭「DDB」 がん原因のDNA傷

がんの原因にもなるDNAの傷を、修復するタンパク質「DDB」について研究していた若杉光生・金沢大助手(三四)らは、DDBが生命の維持そのものに欠かせないことを突き止めた。さらに、DDBの修復効率は、別のタンパク質との組み合わせで高まることも明らかにした。若杉さんは「細胞が増殖し、生き続ける仕組みの解明を進め、将来がんの治療につなげたい」と話している。(報道部・伊藤弘喜)  自然科学研究科薬学系の松永司教授との共同研究。成果は、十九日、金沢大医学部記念館(金沢市宝町)で開かれた「生物学国際シンポジウム2006」で発表した。

金大・若杉助手ら解明

DDBは紫外線(UV)や化学物質などで傷つけられたDNAの修復を促す機能を持つ。「DDB1」と「DDB2」の二種類で構成され、DDBに異常が起きると、DNAの傷ががんになることもある。
DDB1は人間以外にも、ほ乳類や鳥類に存在が確認され、生物にとって重要なタンパク質として注目されていた。しかし、実態や機能には不明な部分が多かった。
 若杉さんは遺伝子工学に手法で、人間とニワトリの細胞からDDB1の除去に成功。除去された細胞葉DNAの合成が不調となり、二日後、増殖をやめて死滅した。この結果、DDB1は細胞生存に不可欠と証明された。

他タンパク質と結合、“無敵”に

さらに、DDBが傷を治す際、ともに機能する六種類のタンパク質のうち「XPA」とDDB2の関係に着目。XPAとDDB2が結合すると、XPAがDDB2と結合できないよう人工的に操作した場合と比べ、DNAを修復する効率が十-二十倍に高まることが判明した。
若杉さんは「細胞の基本的な仕組みの一端を明らかにできた。DNAの傷はがん化する可能性もあり、その修復メカニズムを解明することは、がんの予防や治療にも役立つ可能性がある」と話している。

DDB(Damaged DNA binding protein) 細胞の核にあり、損傷を受けたDNAを感知し、修復するタンパク質。DDB1とDDB2の2種類があり、DDB2に異常が生じると、DNAにできた傷が修復されなくなるため、皮膚は紫外線に対して弱くなり、がんができやすくなる。また色素性乾皮症という遺伝病の原因にもなる。

お問い合わせ先: 若杉 光生;mwaka@mail.p.kanazawa-u.ac.jp 松永 司;matsukas@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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