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報道ダイジェスト:記事

特許破りには“進化”で対応 骨祖しょう症 治療薬開発

骨祖しょう症の治療薬開発で、骨を壊す細胞と共存した状態で骨を作る細胞を活発にさせるという新発想の化合物を、金沢大大学院自然科学研究科の染井正徳教授(薬化学)らのグループが作り出すことに成功した。骨の代謝を調べる薬理試験の方法とともに特許を出願した。(経済部・後藤隆行)  骨祖しょう症の新薬競争は世界規模で激しい。染井教授らは二年前、神経伝達などにかかわる必須アミノ酸「トリプトファン」の構造に似た物質を特許出願したが、今回はよりトリプトファンに近づけることに成功。少しずつ構造の異なる「化合物群」として出願することで、特許破りの“ものまね”を防ぐ考えだ。

必須アミノ酸は体内で合成できず、食物から摂取している。今回の研究でグループは、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が同時に存在する金魚のウロコを調べたところ、この物質が低濃度で骨芽細胞を活性化させることが判明した。

染井教授が化学物質の合成を担当し、東京医科歯科大の服部淳彦教授と金沢大大学院自然計測応用研究センターの鈴木信雄助手が薬理試験の方法を確立した。

骨祖しょう症は、骨芽細胞と破骨細胞のバランスが崩れることで引き起こされる。ただ、従来の薬は骨芽細胞の働きだけに目を向けられており、破骨細胞と共存した条件下の薬理試験報告は世界でも例がないという。

染井教授は「今の薬は、破骨細胞から何らかの信号が送られると増骨作用が収まってしまう可能性がある。今回の発明は体内にある物質を作る考えなので副作用もないはずだ」と話す。骨や歯の再生医療、魚や家畜の増産への応用なども見込んでいる。

骨祖しょう症は閉経後の女性に多い。染井教授らの研究は科学技術振興機構の本年度シーズ(種)育成試験に採択されており、今後、卵巣を摘出したマウスによる実験に入る。

お問い合わせ先: 染井正徳;somei@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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