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新薬の有効性 早期に判断 ヒトの擬似細胞を開発 国内企業向けに商品化へ 金大の辻教授グループ

金大大学院自然科学研究科の辻彰教授(薬学)の研究グループは、新薬の有効性判断に役立つヒトの擬似細胞を開発した。薬の排出や取り込みに関して人間の細胞と同じ働きを持ち、人体への薬の効果の有無を簡単に知ることができる。同グループでは、新薬開発の効率化につながるとして、今後、国内製薬企業向けに擬似細胞の商品化を目指す。

研究グループでは、細胞表面に薬剤など外部からの異物を排除するトランスポーターと呼ばれる「運び屋たんぱく質」(辻教授)があり、薬の効果を左右することを発見。アフリカツメガエルの卵母細胞に、人間の細胞が持つトランスポーターを発現させる遺伝子を注入し、擬似細胞を作ることに成功した。

同グループでは、これまでに約二十種類のトランスポーターの機能を解読済み。新薬を開発する際、これらを組み込んだ擬似細胞を使ったテストを行うことで、薬剤が人間の細胞に入り込んで効果を発揮できるかどうかを早い段階で判断できる。

現在の国内における新薬開発は、動物実験段階で十分な安全性や有効性の確認が求められる。辻教授によると、一種類の薬を市販するまでに十‐二十年の期間と、平均で千九百億の投資が必要。しかし、ヒトと動物ではトランスポーターの種類が異なるため、動物実験で成功しても治療で効果が表れず、失敗に終わるケースが多いという。

製品化に向けた研究は、科学技術振興機構研究成果活用プラザ石川(能美市)の二〇〇五年度育成研究課題に採択された。五十個当たり十万円以下の価格とする計画で、製薬関連のベンチャー企業ジェノメンブレン(横浜市)と共同で、擬似細胞の安定供給体制の確立を目指す。

お問い合わせ先:辻 彰;tsuji@kenroku.kanazawa-u.ac.jp

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