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報道ダイジェスト:記事

どう変わる薬学部

薬剤師を養成する大学の薬学教育が来年度、現在の四年制から六年制に移行する。国は医療技術の高度化に対応するためとするが、一般の人々にはほとんど知られていないのが現状だ。しかも、薬学部の中に、薬剤師養成の六年制コースとは別に、薬剤師になれない四年制コースも設置できることから、受験生の混乱も予想される。薬学部はどう変わるのか。

世界有数の研究拠点

薬剤師になることができる権利があるのは、薬学部の出身者だけである。だが、薬学部イコール薬剤師養成機関ではない。日本の薬学部は立派な研究者も育てている。だから、四年制の学科もつくらなければならない。薬学部が学術的な地位を占めていることにも理解を求めたい。
 金大には、論文引用件数で世界有数の教授や、21世紀COEプログラムの拠点リーダーもおり、学内屈指の研究実績を誇る。有機化学や環境分析、物理化学など将来の道も幅広い。科学の未来は無尽蔵である。高校生の皆さんも、ぜひ大学に来ていただき、研究の面白さに触れてほしい。
 一方、金大の薬剤師国家試験の合格率は国立大トップクラスである。高い見識を持って薬の適正利用を呼び掛け、社会を啓蒙する立場の薬剤師を育てたい。
(写真:金大薬学部長 石橋弘行教授 談)

研究者育成に重点 金大

金大薬学部は定員七十五人のうち、薬剤師養成の薬学科(六年制)に三十五人、研究職を目指す創薬科学科(四年制)に四十人を振り分け、研究者育成に、やや重点を置いている。
 来春の入試は、薬学科と創薬科学科の区別なく一括で行い、三年次の後期課程から各学科に配属する形となる。その際の選抜基準は学業成績を基盤とし、成績の高い者から希望学科を調査するとともに、複数の教員による個別面談調査で適正を判断し、総合的見地から決定するとしている。
 このため、薬剤師を目指して入学したのに薬学科に配属されない学生が出る可能性もあり、波紋が広がりそうだ。
(写真=薬局実習に励む金大の大学院生=金沢市石引1丁目のアカンサス薬局)

3年次に枝分かれ

金大では現在、薬学部卒業後の大学院修士課程(二年制)で、より専門的な薬剤師を養成する医療薬学専攻があり、薬局や病院で一年近く実習させている。六年制移行は必修の六ヵ月の実習に加え、選択で三ヵ月の病院実習を行う。
 創薬科学科は大学院への進学を前提に、製薬企業や大学で研究開発に携る人材をはじめ、多様な人材を育成する。

広がる活躍の場

薬剤師とは、薬剤師法に基づき、医薬品を調合、供給する専門職。薬学部で学んだ後、国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。
 普段、薬剤師に接する機会があるのは近所の薬局や病院で、薬剤師は医師による処方箋に従って薬を調合している。
 近年、医師と薬剤師の役割分担、医薬分業が進められ、従来は病院で出されていた薬も、病院外の薬局に行ってもらう機会が増えた。入院した時にも薬剤師から薬の説明を受けることがある。
 今後も薬剤師の活躍の場が広がるとみられ、薬剤師の資質の向上が強く求められている。

6年制の経緯
 医療分業進み「社会的要請」

病気の治療には、ほとんどの場合、薬が使われる。医師は患者に効きそうな薬を選んで薬剤師に調合させ、効き目がなければ、別の薬に変える。薬の種類や量を間違えると、良くならないばかりか、健康を害したり、死に至るような医療過誤につながる恐れもある。
 薬は誰もが一度は飲んだことがある身近な存在なのに、それを扱う薬剤師はこれまで、患者の身近にはいなかった。厚生労働省の薬剤師問題検討会でも「本来果たすべき役割を果たしていないといった指摘が従来よりなされている」と認めている。しかし、近年では医師と薬剤師の役割分担が推進され、薬剤師の活躍の場が増えてきた。
 そのため、今まで以上に質の高い薬剤師を育てていく必要がある。昨年の二月の中教審答申は、薬学部を六年制にしなければならない理由として「医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴う医薬品の安全使用や薬害の防止といった社会的要請に応えるため」と指摘している。
 来春入学の学生から、薬剤師になるには医師や歯科医師と同じく、六年間の教育を受ける。医薬品の基礎知識を学ぶだけではなく、薬局や病院で実習したり、人間性や教養を深めたりと、医療人として資質を磨く。

4年制は研究に特化

来年度から薬剤師養成が六年制になる一方、薬剤師になれない四年制の薬学教育も行われる。薬学部に六年制の学科が併存する大学が現れることになった。
 日本の薬学は基礎研究から発展した歴史的背景があり、薬学部における薬学研究は世界的にも高い評価を得ている。四年制の学科は、新薬を開発したり、生命と薬剤の関係を解明したりという研究分野に特化した人材を育てることになる。
 実際、全国に十四ある国立大の薬学部すべてに四年制の学科がつくられる。国立大出身者は薬剤師の資格を持っていても薬剤師として働いていないケースが多く、六割以上が大学院に進学して研究を続けている。
 四年制学科は大学院進学が前提となる。新薬で未来の患者を救う使命とともに、創薬分野の国際競争力を強化する意味でも重要だといえる。

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