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報道ダイジェスト:記事

砂漠化進む内モンゴル自治区

植物の根を通常の二倍の長さに伸ばす液体化合物を活用し、金沢市に拠点を置く特定非営利活動法人(NPO法人)が、中国・内モンゴル自治区の砂漠化を食い止める植樹に取り組む。液体化合物は金沢大が開発。これまで植樹しても根付きにくかったが、地下水脈まで到達し、緑化を促進すると期待されてる。何かときしむ日中関係だが、草の根のNPO活動が、両国の協力関係を“根付かせる”一助にもなりそうだ。(報道部・沢井秀和)

植樹のNPO “成長薬”研究の金沢大
緑化へ連携友好の根付け

この液体化合物は、金大の染井正徳教授(63)=合成化学=らがイネ科植物やキュウリなどで試みた研究で開発した。クループがインドール系化合物を溶かした液体に、これらの種を浸して育てたところ、根が通常の二倍近くに伸びた。またブドウやリンゴで試した結果、果実も通常より二-三割大きくなった。
 これを、NPO法人「世界の砂漠を緑で包む会」(坂井昭保会長)のメンバーが知った。砂漠で自生する植物を植え続けている同会は早速、協力を要請。砂漠の地下に水分があり、そこまで根を到達させ、緑化を促す計画を立てた。
 会では既に、現地に自生するマメ科のザクや落葉高木科のナツメなどの種を金大の研究室に搬送。今後、染井教授がこれらの種が最も成長する液体化合物の種類や濃度を調べる。化合物は生命に必要なアミノ酸が原料だが、安全面で影響がないように十分配慮する。

来月にも種まき試行「命吹き込みたい」

七月下旬にも予定する同会の第十二次派遣隊が、試験的に液体化合物を持って行き、テストケースとして浸した種を現地でまく。将来は液体化合物を浸した種を、飛行機で空からまくことも想定している。
 同会が活動しているのは、内モンゴル自治区西部の阿拉善(アラシャン)地域。現地政府から活動許可を得た十二万ヘクタールのうち七百ヘクタールで、これまで計二十三万本の自生植物の苗木や種を植えた。中国全土では年間千平方キロの緑が消え、砂漠化が進んでいるとされる。同会の植樹も根を張るのが難しく、三割が枯れる場合もあるという。
 同会の大沢俊夫事務局長(60)は「砂漠化は想像以上。だが、地面を掘ったら湿っている部分もある。皆と手を携えて、砂漠に命を吹き込みたい」と意気込む。染井教授は「食糧増産は研究者を志したときの私の夢。簡単ではないだろうが、夢の実現に一歩でも近づきたい」と話している。
 同会は会員、染井教授は研究協力者をそれぞれ募集中。問い合わせは同会=電話076(292)0038=へ。

「世界の砂漠を緑で包む会」 会員は410人。日本の植物を持ち込むのではなく砂漠の厳しい環境で自生する種類を植樹の対象としているのが特徴。地元の経済団体や小学校と協力関係も築いている。内モンゴル自治区出身の呉向栄さんが研究生として、事務局長の大沢俊夫さん宅に長期滞在していたのが緑で1998年から活動が始まった。

お問い合わせ先: 染井正徳;somei@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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