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報道ダイジェスト:記事

金大・山田教授ら薬物の「快感酵素」特定

鎮痛剤に使われるモルヒネや覚せい剤の精神的効果(快感)を促す酵素を、金沢大大学院自然科学研究科の山田清文教授(46)=神経精神薬理学=のグループが特定した。山田教授は、この酵素のコントロールが薬物依存の抑制につながる、としている。酵素は統合失調症やパーキンソン病などにかかわりが深い脳内物質ドーパミンの放出も促進しており、障害を軽減する治療にも新たな道を開きそうだ。(報道部・沢井秀和)

依存症 治療に道

この酵素は「組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)」。脳梗塞(こうそく)などで詰まった血栓を溶かすことで知られている。
 グループは、モルヒネや覚せい剤を投与したマウスの脳内の神経細胞を調べたところ、この酵素が多く出ていることを確認した。またモルヒネなどの投与で、恍惚(こうこつ)状態になった場合に特定の部屋に入るように学習させたマウスを使って実験。正常マウスと、この酵素を作れないように遺伝子を操作したマウスを比較した。
 その結果、この酵素を生成できないマウスは、"恍惚の部屋"に入る時間が、正常なものの半分しかなかった。さらに酵素を作れないマウスに酵素を注入すると、正常マウスとほぼ同じ時間だけ入ることも分かった。
 これらから、この酵素がモルヒネや覚せい剤の精神的効果を制御することに深くかかわっていることが明らかになった。成果は米国科学アカデミー紀要で発表した。
 山田教授は「今後、ニコチンなどの依存にこの酵素が関与しているかどうかを検討したい。酵素とドーパミンの放出とのかかわりを解明し、統合失調症などの新治療薬開発につなげたい」と話している。
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人での確認が課題 精神疾患の病態生理学研究に詳しい名古屋大医学系研究科の尾崎紀夫教授(精神医学)の話 組織プラスミノーゲン活性化因子を制御することで、依存性がなく痛みをとる鎮痛剤の開発も期待できる。マウスと人の脳は違い、人での効果を確認することと安全性の十分な確保が今後、課題になる。

お問い合わせ先: 山田清文;kyamada@p.kanazawa-u.ac.jp

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