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報道ダイジェスト:記事

骨粗しょう症新薬に光 骨形成促進の有望物質発見 金沢大教授ら

世界の製薬企業がしのぎを削る骨粗しょう症治療薬の開発に向け、金沢大学薬学部染井正徳教授らが有望な骨形成促進物質(SSH-BM)を発見した。いずれも世界初となる、化学物質の合成法と、骨代謝を調べる薬理試験法の開発が決め手となった。これらの技術は今年三月、知的財産のビジネス化を担う有限会社「金沢大学TLO」を通じて国内特許を出願。国際特許の申請も視野に、新薬開発へ実用化を急いでいる。(報道部・林勝)

SSH-BMはアミノ酸の「トリプトファン」に似た構造を持つ化合物質。染井教授は、体の中でトリプトファンに似た物質が、神経伝達など多くの役割を果たしていることに着目した。SSH-BMの合成には十五年前から取り組み、一昨年、効率の良い合成法を見つけた。

世界初開発の合成、試験法で特許を出願

骨形成促進の効果は、金沢大学自然計測応用研究センターの鈴木信雄助手が、東京医科歯科大学の服部淳彦教授と共同開発した骨代謝試験法により、明らかになった。
 鈴木助手らは、骨を作る骨芽細胞と骨を破壊する破骨細胞が、魚のウロコにあることを発見。骨芽、破骨両細胞の働き具合を金魚のウロコを使って一度に高感度で調べることに成功した。これまでの骨代謝の測定方法は煩雑で感度が低かった。
 この試験法でSSH-BMの効果を調べると、極めて低濃度で骨芽細胞の働きを活発にさせ、破骨細胞の働きを抑えることが分かった。
 染井教授は「骨の病気の薬や、骨や歯の再生医療にも応用できる可能性を持つ物質」と期待。金沢大学TLOは実用化に向け、企業との提携や技術移転を進める方針だ。

エストロゲン製剤 国が「安全性情報」

骨粗しょう症は主に老化で骨密度が減り、骨折しやすくなる病気。閉経で骨を作るホルモンが急減する女性に多い。
 女性のホルモン補充治療法に使われるエストロゲン製剤には、SSH-BMと同様の骨代謝作用がある。しかし、米国などでの大規模臨床試験では、長期服用した場合に心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の危険性が高まり、がんや痴呆症の増加も確認された。
 これを受け、厚生労働省は今年一月、必要最小限の使用を呼び掛ける安全性情報を出しており、副作用の少ない新薬の開発が待たれている。

お問い合わせ先:染井正徳;somei@mail.p.kanazawa-u.ac.jp

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