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ワクチン・免疫科学

主な研究テーマ

  • 新規マラリアワクチンの開発に関する研究
  • 蚊のステージでのマラリア原虫増殖を阻害する伝播阻止ワクチンに関する研究
  • 抗唾液抗体価をバイオマーカーとしたマラリアベクターコントロールの評価法開発
  • 肝臓特異的遺伝子治療用ベクターの開発

研究の概要

私たちの研究室の最も大きな目的はマラリアワクチンの臨床応用を実現することです。マラリア原虫はヒトと蚊という全く異なる宿主の中で多彩な増殖ステージ(図)を持ち、薬剤に対しても速やかに耐性を獲得する能力をもっています。マラリアの蔓延する地域では発展途上国が多く、高価なマラリア治療薬の導入は難しい上に、マラリア感染を媒介する伝播性の高いハマダラカの存在はマラリアのコントロールをいっそう困難にしています。そこで、様々な手法を駆使し下記に示す画期的なマラリアワクチンを開発し、国際予防医療に寄与することを最終ゴールと考えています。

新規マラリアワクチンの開発に関する研究

本研究室ではバキュロウイルスのエンベロープ上にマラリア原虫由来の抗原タンパク質をディスプレイさせたワクチン(BACULOVIRUS-BASED VACCINE; BBV)を開発することに成功しました。BBVはマウスモデルでマラリア原虫に対して100%の感染防御を達成しています。さらに、BBVはアジュバントなしで単独で有効性を発揮することが可能であり、しかも宿主特異性があるためヒトに感染しない安全性の高いワクチンです。最近のネズミやサルをモデルにした感染実験の結果から、人に感染する熱帯熱マラリア原虫や三日熱マラリア原虫に対しても防御効果があることが明らかになりつつあります。私たちの研究室では、製薬メーカーと共同でBBVの臨床応用を本気で考えています。

蚊のステージでのマラリア原虫増殖を阻害する伝播阻止ワクチンに関する研究

マラリア伝播阻止ワクチンは蚊の中に移行したマラリア原虫の受精やオオキネート/オオシストの形成を阻止することが報告されています。私たちはイギリスの研究グループと共同で新規の伝播阻止ワクチンの作製に成功しています。本ワクチンを接種したマウスをマラリアに感染させた後、ケージの中でこのマウスを吸血した蚊の中腸内を調べてみたところ、対照群と比較して顕著にマラリア原虫数が減少していることが確認されました。本ワクチンはマラリア流行地域において、さらなる感染の拡大を防ぐ予防用ワクチンとして期待されます。

抗唾液抗体価をバイオマーカーとしたマラリアベクターコントロールの評価法開発

マラリア感染地域では、多くのマラリア対策が同時に進行しています。マラリア媒介蚊対策である殺虫剤含有の蚊帳(ITN)や忌避剤(SR)の効果はマラリア感染率低下と吸血頻度減少で評価されますが、同時進行の別の対策との効果比較を行う確立された方法はありません。さらにITNsやSRを家々で適切に使用していることを前提としており不確かな要素が存在しています。このため、マラリア対策の有効性を正確に評価する新たな「マラリア感染危険度」のクライテリアの設定が望まれています。

私たちはメスのハマダラカの唾液腺に特異的に発現するタンパク質AAPPが血小板に直接結合しコラーゲンへの接着を阻害することが明らかにしました。マラリア感染地域住民の血液にAAPPに対する抗体が高頻度で検出され、しかもマラリア感染経験(回数)と密接にリンクしていることを見出しています。現在インドネシアの研究グループと共同でAAPP抗体価測定によるマラリア疫学調査の新システムを開発することを目指しています。世界のマラリアベクターコントロールの推進およびマラリアアウトブレイクを未然に防ぐ非常に重要で意義深い研究となると期待されます。

肝臓特異的遺伝子治療用ベクターの開発

私たちはマラリア研究からヒントを得て、肝臓特異的な遺伝子導入ベクターの開発研究を行っています。マラリア原虫が蚊の吸血によりヒト体内に注入されると、血流に乗り肝臓に到達し、肝細胞に特異的に侵入します。この特異性に着目し、肝臓特異的遺伝子導入ベクターの開発を行っています。将来的には血友病、肝臓ガン、代謝異常症等の肝疾患に対して新たな治療方法を提供することが期待されます。

最近の主な発表論文

教員紹介

  • 吉田 栄人 教授

    専門分野

    感染免疫学、寄生虫学、応用昆虫学

    所属学会

    日本寄生虫学会、日本ウイルス学会、日本熱帯医学会

  • 伊従 光洋 准教授

    専門分野

    微生物学・免疫学

    所属学会

    日本免疫学会、日本細菌学会、日本寄生虫学会、日本マイコプラズマ学会

  • 田村 隆彦 助教

    専門分野

    免疫学、寄生虫学

    所属学会

    日本分子生物学学会、日本免疫学会、日本寄生虫学会、日本インターフェロンサイトカイン学会

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