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薬物代謝化学

主な研究テーマ

  • 薬物代謝酵素の特徴付け
  • 薬物代謝酵素の発現調節機構に関する研究
  • 薬の代謝反応の個人差、人種差、種差に関する研究
  • 薬の代謝的活性化による毒性メカニズムの解明
  • ヒト薬物誘発性有害作用のメカニズム解明および予測試験系の開発

研究の概要

生体内に投与された薬物は主に肝臓で代謝され、違う構造の化合物に変換されます。この反応を担っているのが薬物代謝酵素です。薬の代謝反応は、脂溶性が高く組織に移行しやすい薬を水溶性の化合物に変換して、尿や糞へ排泄されやすくする役割と、薬効を減弱したり増強したりする意味があります。代謝反応により、毒性代謝物が産生されることもあり、薬物代謝は薬理作用のみならず毒性発現においても重要な要因となっています。

薬の代謝が原因で、薬物相互作用、薬効の個人差や人種差、副作用や毒性の個人差などが引き起こされます。これらの原因を追及し、薬をより安全に使用できるよう、生体内でおこる様々な代謝反応の基礎的研究、臨床薬理学的および毒性学的研究を行っています。

(1)薬物代謝酵素の特徴付け

薬物代謝酵素の中でもシトクロムP450 (Cytochrome P450: CYP) は臨床で使用されている薬の70%ほどの薬を代謝している主要な第I相薬物代謝酵素であり、CYP1ファミリーからCYP3ファミリーに属する分子種が主に薬の代謝を触媒します。多くの薬がP450の基質となり、また酵素阻害や酵素誘導を引き起こすため、P450を介した薬物相互作用が起こる確率が高く、すべての薬物相互作用の約3分の1を占めています。UDP-グルクロン酸転移酵素 (UDP-glucuronosyltransferase, UGT) や加水分解酵素 (Esterases) はP450に次いで多くの薬の代謝に関与する薬物代謝酵素ですが、ヒトにおける薬物動態を捉えるにあたり未解決の問題点が多く残っています。当研究室では薬物代謝を包括的に理解することを目的として、薬の代謝に関与する酵素の特徴付けや薬の体内動態に関する研究を行っています。

(2)薬物代謝酵素の発現調節機構に関する研究

多くの薬物代謝酵素は、薬物や環境化学物質、喫煙や飲酒、食物成分などにより誘導され、それが薬効低下や発がんなどの現象に結びついていきます。薬物代謝酵素の誘導は、核内レセプターや転写因子などにより転写レベルで調節されていることが多いですが、microRNAによる転写後調節を受けていることを当研究室で明らかにしました。microRNAは22塩基程度のnon-coding RNAであり、標的となるmRNAに結合して翻訳を抑制します。ヒトでは2,500種類以上のmicroRNAが存在し、全遺伝子の60%ほどがmicroRNAによって調節されていると予想されています。私たちはエストロゲン代謝酵素であるCYP1B1の翻訳がmiR-27bによって抑制されており乳癌と関連していることを見出し、その他にもCYP2E1やCYP24等、薬物代謝の制御や生体内化合物のホメオスタシスにmicroRNAが関与していることを明らかにしています。microRNAを代表とするnon-coding RNAを考慮することで、医薬品副作用を避け、薬効を最大限に得られるような育薬研究に取り組んでいます。

(3)薬の代謝反応の個人差、人種差、種差に関する研究

多くの薬物代謝酵素には遺伝子多型があり、代謝反応の個人差や人種差の原因となっています。個別化医療を最適化するために、有効性のみならず毒性発現においても、個人差を遺伝子レベルで解明する研究を行っています。また、新薬の開発段階において、動物実験で得られた代謝プロファイルとヒトで得られるものとの間に大きな違いが認められることが少なくありません。これは、代謝酵素の種差(基質特異性や酵素の数等)が一つの原因と考えられます。当研究室では代謝酵素の種差の原因を分子レベルで究明し、新薬開発に有益な情報を提供することを目指しています。

(4) ヒト薬物誘発性有害作用のメカニズム解明および予測試験系の開発

薬が市販され多くの患者さんに使われるようになって初めて、開発段階では予期できなかった有害作用が認められることがあります。ごくわずかな一部の患者さんでのみ生じる現象であるため、発症メカニズムや患者さん側の個体要因など、未解明の点が多く残されています。医薬品有害作用は、代謝反応によって生成した反応性中間体が原因となることが多いことから、薬物代謝を中心として医薬品毒性のメカニズムをin vitroおよびin vivoで解明する研究を行っています。

最近の主な発表論文

教員紹介

  • 中島 美紀 教授

    専門分野

    薬物代謝学、薬理遺伝学

    所属学会

    日本薬物動態学会、日本毒性学会、日本臨床薬理学会、日本薬学会、International Society for the Study of Xenobiotics

  • 深見 達基 准教授

    専門分野

    薬物代謝学、薬理遺伝学

    所属学会

    日本薬物動態学会、日本毒性学会、日本薬学会、International Society for the Study of Xenobiotics

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