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分子薬物治療学

主な研究テーマ

  • 膜輸送体を利用した疾患治療とバイオマーカー探索
  • 神経細胞の増殖・分化・成熟機構解明と脳疾患治療への応用
  • 生理学的薬物速度論に基づく特殊患者への薬物治療最適化

研究の概要

私達の研究室では、2つの研究テーマを柱に、病気に対する最適な薬物治療を目指した研究を行っています。

一つめは、細胞膜を通した物質の出入りに働く膜タンパク質(膜輸送体=トランスポーター)を利用した病気の治療法や診断技術の開発です。生体は自身の生存にとって必要な物質(栄養物)を取り込み、不要な物質(異物)を排除(排出)しようとします。この仕組みは健康な身体の維持に働く一方で、病気の時には悪い働きに利用されることがあります。このような健康時と病態時での膜輸送体の働きの違いに着目することで、病気の原因や悪化に働く原因物質を解明したり、膜輸送体を利用して病気を正常に戻す物質を体内に送り込んだりできるかもしれません(図1)。私達は、消化管、脳、肝臓、腎臓、皮膚などで病態時に変化する膜輸送体に着目し、その変化がもたらす物質の動きの変化や病態に及ぼす影響を解明することによって、病気の診断や治療に応用できる基盤技術の確立を目指しています。

もう一つの柱は、脳において情報伝達に働く分子機構の解明と脳疾患治療や予防への応用です。情報伝達の主体である神経細胞や、神経細胞の働きを助けるグリア細胞、さらに神経およびグリア細胞に成長(分化・成熟)できる神経幹細胞に特異的に存在する膜輸送体に着目した研究を進めています。情報伝達を担う物質は神経伝達物質と呼ばれ、それと結合して情報を受け渡す膜タンパク質(受容体)や、神経伝達物質を細胞内に取り込んで情報伝達を調節する膜輸送体の研究が精力的に行われてきました。一方で私達は、薬物も含め幅広い物質を認識する膜輸送体が神経細胞やグリア細胞、神経幹細胞に存在することを突き止め、その働きを研究しています。これまでの研究から複数の物質による神経細胞の増殖・分化・成熟の調節が解明され、その物質の同定と脳疾患治療や予防への応用研究を進めています(図2)。

私達の研究は、薬物や生体内物質の濃度を一つ一つ測定し、その時間推移を解明すること(薬物速度論)、そしてその動きを細胞/試験管レベル(in vitro)と個体レベル(in vivo)との間で関係づけること(生理学的モデル)を基盤としています(図3)。このようなin vitroとin vivoとの関係付けは、ヒトと実験動物のそれぞれで行うことができるため、ヒトと動物との間に存在する違い(種差)の影響を最小限に抑え、ヒトでの薬物動態や薬物治療を定量的に理解することができます。つまりこのような考え方に基づけば、患者さんに対して、どのような投与量、投与間隔で薬を投与するのが適切かを定量的に示すことができます。さらに、この技術を生体内物質(特に、病気が悪化した時や薬が効いた時に変化するような物質)に対して応用すれば、病気や薬の効き目の指標となる物質(バイオマーカー)の発見、ひいては新しい診断技術の開発にもつながります。

現在、当研究室で動いているテーマには次のようなものがあります。
○炎症性疾患時に高発現する膜輸送体を標的とする薬物治療
○膜輸送体を標的とした脳内薬物治療
○皮膚に発現する膜輸送体を標的とした薬物治療
○腎障害患者での肝消失型抗がん薬の薬物動態変動と投与設計

最近の主な発表論文

教員紹介

  • 加藤 将夫 教授

    専門分野

    薬物治療学、薬物送達学

    所属学会

    日本薬学会、日本薬物動態学会、日本薬理学会、日本薬剤学会、日本DDS学会、American Association of Pharmaceutical Scientists (AAPS)、International Society for the Study of Xenobiotics (ISSX)、American Society for Cell Biology (ASCB)

  • 中道 範隆 准教授

    専門分野

    薬物治療学、細胞薬力学、細胞薬理学

    所属学会

    日本薬学会、日本薬理学会、日本神経精神薬理学会、日本神経化学会、International Society for Neurochemistry (ISN)、Asian-Pacific Society for Neurochemistry (APSN)

  • 増尾 友佑 助教

    専門分野

    薬物治療学、薬物動態学

    所属学会

    日本薬物動態学会

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